2012年2月4日

Journal of Kith (1)


伝説のドワーフフォートレス"BoatMurdered"を探す旅に出た、
あるドワーフの手記からの抜粋

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Journal of Kith
(1) (2) (3)

原著: Anonymous of /tg/
http://1d4chan.org/wiki/Journal_of_Kith

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※訳注
この話にはドワーフの暦が出てくる。
花崗岩の月は初春、4月にあたる。

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花崗岩の月1日:
私の名はKith Sividsgun。これが私の手記への最初の書き込みとなる!。
私は今、10年以上前に失われ、伝説となった要塞、Kiganusan
(共通語に訳すとBoatmurderd。悪趣味な訳だ)を見つけ出そうという、
個人的な冒険に旅立とうとしている。

何故かは分からないが、他のドワーフ達は私の事を理解してくれなかった。
(皆、炎がどうとか、そこに関する超自然的な何やらの話をまくし立てていた。)
そして私が声をかけたエルフは……もっと役に立たなかった。
(私のエルフ語は錆びついているが、多分彼らは”悪魔と死の地”の話をしていた。)
なので、人間の屈強な冒険者達を雇ってガイドにすることにした。
栄光と名誉に満ちた冒険になるだろう!

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花崗岩の月2日:
2度目の書き込み。冒険は伝説にあるような物では無かった。
昨晩は固い岩の上で最悪の寝心地だった。
もう少しマシな寝具を手に入れなければならない。

花崗岩の月3日:
たまたま会った旅の吟遊詩人達から毛布を買った。
彼らは素敵で洒落た曲を演奏してくれたが、どういう訳か、
私の同行者の中にはドワーフの結婚の音楽を気に入らない者も居たようだ。

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花崗岩の月5日:
特に書くことがない。強いて挙げるなら、
私が家から持ってきたパンに対して、同行者の一人が苦情を言ってきた。
歯がかけたーーだらしないことだ。母が焼いてからまだ1年しか経っていないのに。
そろそろ完全に熟したはずだ!確かに歯がかけた。

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花崗岩の月10日:
冒険は退屈なものらしい。野盗も、ゴブリンも、コボルドすら居ない!
今のところ冒険譚に出てくるようなものは何もない。
何にせよ、Kiganusanまではたっぷり1,2ヶ月かかる。さらにガイドによれば、
古い地図しかないのでもっとかかる可能性がある。

花崗岩の月12日:
早とちりをしたようだ!昨日、我々はゴブリンの小集団に襲われた。
同行者達は私の完璧な指示によって連中を蹴散らした――私の命令は
無視されていたようだが、とにかく邪悪なゴブリン共を叩きのめした。
よし!

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花崗岩の月17日:
ゴブリンの襲撃以降とくに目立ったことはなし。
暇つぶしにアミュレットを彫ることにした。

花崗岩の月28日:
花崗岩製のアミュレットを完成させた。縞瑪瑙の棘で装飾され、
人間とゴブリンを打ち倒す画が彫られている。
花崗岩の月と共に、冒険の最初の1ヶ月が終わる。

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粘板岩の月8日:
補給のため、人間の開拓地に立ち寄った。
道中アミュレットを作るための石を幾つか購入した。
前に作ったものは、何故か町の住人の目に異国風に映ったらしく、いい値で売れた。

粘板岩の月15日:
砂岩のアミュレットを完成させた。砂岩と皮の棘で装飾されている。
木とドワーフが彫られている。ドワーフは木に無礼な仕草をしている。

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粘板岩の月19日:
コボルドのアンブッシュを受けた!悪賢いチビ共は罠を仕掛けていた。
幸運にも、同行者のうち2人が軽症を負っただけで済んだ。
理由は分からないが、コボルドは罠にガラスの刃を仕掛けていて、
それが同行者のチェインメイルに当たって砕けたのだ。
我々は簡単に蹴散らしたーー私も闘った。
私のアミュレットを掴んで棘に刺されたコボルドの頭に、
チッピングハンマーをめり込ませてやった。

粘板岩の月24日:
砂岩のアミュレットをもう1つ完成させた。花崗岩の棘がついていて、
ドワーフがコボルドを打ち倒している画が彫られている。

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粘板岩の月26日:
補給と休息のため、ドワーフの鉱山Febducimに立ち寄った。
岩の天井の下で眠ることの、なんと嬉しいことか。

夕食の最中、鉱山のドワーフに我々の冒険の話をすると奇妙なことに、
数人のドワーフが青くなり、驚いた顔で私を見てきた。
2本の剣を差し、チェインメイルの上にプレートメイルを着た屈強なドワーフが
食事を私に投げつけて(酒がもったいないな)部屋を飛び出していった。
そして誰に聞いても、Koganusanの場所についての情報は手に入れられなかった。

粘板岩の月27日:
我々が出立する直前、昨日のドワーフが私を呼びよせて、
「BoatMurderedを探すのはやめておけ」と言ってきた。
彼はそこを「邪悪の巣窟」と呼び、「そこに行けば焼かれてしまう」と言った後、
”全て燃えた”とか何とか言いながら離れて行った。変な奴だった。

粘板岩の月28日:
旅の2ヶ月目が終わろうとしている。
今日は特に何もなかった。アミュレットを完成させた。

(2)に続く
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※訳注
この話には”BoatMurderedの再発見”という別のタイトルも付けられている。
BoatMurderedは実在のプレイリポートの舞台となった要塞。

これは数あるプレイリポートの中でも代表的な作品で、
DwarfFortressのシステムが生み出す際限のないパニックと、
尋常でない土木工事と、はちゃめちゃのヤケッパチ感とをよく表していると思う。
果たしてそこで何があったのか、この先の話からなんとなく想像がつくと思う。

BoatMurdered自体のアドレスはこちら
http://lparchive.org/Dwarf-Fortress-Boatmurdered/Introduction/

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