2014年4月4日

The Hammer of Damocles

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The Hammer of Damocles

原著:Battlesheep
http://dfstories.com/the-hammer-of-damocles/
http://www.reddit.com/r/dwarffortress/comments/1d5sin/regicide_successful/
画像はDFStoriesからの転載

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俺のドワーフフォートレスの話をしよう。
Nilashok砦、またの名をHammertime。
射手以外の兵士は全員ハンマー使いだ。

この砦が所属するドワーフ帝国"Pages of Murdering"はかれこれ半世紀以上、
数え切れないほどのドワーフを殺してきたヴァンパイアの女王によって支配されていた。
この砦の目的は帝国のマウンテンホームとなり女王を招くことだ。

俺達は誰も見たことが無いような玉座の間を作ることにした。
最大の目玉はHammertimeの富と力を表す、玉座の上に吊られた巨大な銀のハンマーだ。
邪悪なヴァンパイアクイーンが玉座についた時、
銀のハンマーは初めて血に染まるだろう。


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まずはNilashokを飾る玉座の間を作ることから始めた。
邪悪なヴァンパイアにはおよそ相応しく無いほど豪華に。
玉座の上にはハンマーを作った。
5x5x4の銀の塊で、1本の支柱によって天井から吊られている。
支柱は切断レバーと接続してあり、俺の命令によっていつでも切断出来る。
俺版のダモクレスの剣といったところだ。

準備が終わった翌春、ついに彼女が到着した。
ヴァンパイアの女王、Cerol Degerighとその夫、
これもまたヴァンパイアである王Consort。
彼女たちにはハンマーが下されるべきだと俺は知っている。
彼女の殺害記録に千人以上のドワーフが載っているのを確かめた。
この行いの正しさに疑問を持っていたとしても、その時から消え失せた。
Cerolは死なねばならない。

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女王を誘導するため、玉座の間のハンマーの下にBurrowを設定した。
確実にハンマーの下に居るように、王を部隊に入れておいた。
幸運にも上手く行って、どちらもハンマーの下に収まった。
今こそ、計画を実行するとき。今こそ、吸血鬼の狂気を終わらせるとき。

今こそ、ハンマータイムだ!

レベ―を引くようにドワーフたちに命じると、向かっていったのは他ならぬ公爵ドワーフ、
彼こそ最初の移民団のリーダーであり、まるで彼自身が
女王の不浄な渇きの犠牲となったドワーフ達の復讐をするために、
Nilshokを作ろうと考えたかのようだった。
彼がレバーを引くとハンマーが落下し、吸血鬼たちは潰されて死んだ。

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Nilashokと殺害記録の未来がどうなるかは知らないが、
俺は再びハンマーを作るだろう。
新たな王か女王がNilashokに来た時、その人物がハンマーの下に座り、
その立場を思い出すように。

Cerolの崩御から1年以上が経ったが、帝国からの接触は全くない。
どうやらまだ新しい支配者も決まっていないようだ。
俺の作った支配者の不在が、内戦か何かを引き起こすかもしれない。

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The Hammer of Damocles 完

2014年4月3日

The Crimson Pyramid

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The Crimson Pyramid

原著: 不明
http://s8.zetaboards.com/Dynami_Hive/single/?p=27003&t=468084
http://dfstories.com/the-crimson-pyramid/
画像はDFStoriesからの転載

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さて、俺はアステカ宗教っぽい要塞を作ってたことがある。

どこから始まったのかは覚えてない。
もしかしたら、エルフの襲撃者を20階層落下させて、
そいつが爆発して壁を赤く染めるのを見てから、飛び散ったグロを
農民達に掃除させる楽しさに気づいた時かもしれない。
もしかしたら、哲学者の職業名を「司祭」「司祭長」と変えていった時かもしれない。

とにかく、どこに向かっていたのかは覚えている。
何かの衝動が俺を動かして、14階分の高さがある生贄のピラミッドを
要塞の真上に建築させた。各部には現地に伝わる恐ろしい出来事が彫刻されていった。
悪党が行った非道の話とか、一つ目巨人と戦ったドワーフが片腕をもがれた話とか。
そうして完成したピラミッドには、いかなるGlowing Pit(※)にも劣らない恐ろしい彫刻が
上から下まであらゆる箇所に施されていた。
俺はこのマイリトル大事業に大変満足していた。

(訳注※Glowing Pit = 古いバージョンに存在した、地下深くにある回廊状の建造物。
 地獄的な彫刻が一面に刻まれていて、奥は本当の地獄に続いている。)


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だがそれは始まりにすぎなかった。
準備として要塞のレイアウトを知ってもらおう。
ピラミッドを含む神殿が要塞の地上部分の真ん中に建設され、集会場になっている。
その周囲には貴族ドワーフと最高位の職人のための家や、
数件の豪華なダイニングホールなどが建てられている。
そこから外側に向かって、まず小さな壁があり、次に大きめの工業地区、
それを囲むように射手付き3層高の防壁、そして農場が広がっている。

この都市の地下部分に、1人あたり2マス(ドアとベッドだ)の下層民用住宅、
マグマを使った製鉄場と兵舎が置かれている。
ここで鉱夫たちは耐え難い熱と騒音に1日中苦しめられている。
さて、ここでのポイントは
この地獄じみた地下住宅はまさにピラミッドの真下にあるということだ。

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ある日、俺はゴブリンが街の真ん中で爆発するのが見たくなった。
そこで檻の中身を神殿の頂上から落とすように命じた。
(そのためにピラミッドには3*3の穴が開けてある)
移住してきた金物細工師のドワーフが、
ピラミッドの頂上に檻を持って行き、命運尽きた囚人を穴に落とし、
衝撃で破裂したゴブリンの中身が下に居た10人以上のドワーフに
浴びせ掛けられるのを目にした。

細工師は即座に発狂した。
そして鉄、金銀、アルミで出来た椅子の化け物を作り上げた。
その価値は数百万ドワーフ貨に達した。
明らかに、Armok神は俺の捧げ物に満足されたのだ。

俺は仕組みをテストしてみた。
地の底に暮らす下層民が病んで凶暴化すれば、侵略者を生贄に捧げた。
貝とグラスを求めて叫ぶドワーフがいれば、生贄を捧げた。
鉄製のベッドルームを作れと命じる貴族ドワーフがいれば、生贄を捧げた。

それは魔法のように上手く行った。血と臓物に塗れた魔法だ。

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俺は、捧げ物が毎週のように必要とされていて、
サディステックなドワーフたちがそれを喜ぶようになっていることに気づいた。
排水格子(グレーチング)を設置して、血みどろが下層に滴り部屋を赤く染めるようにしてやった。

王は毎日カーマインの風呂に入り、ほとんどの時間を集会所で過ごすようになった。
地下の川は臓物で赤く染まり、貴族達は視覚的に渇きを癒やすために
ルビー、ボーキサイト、ヘマタイトなどを要求するようになった。
この悪魔的な光景に彫刻師たちは狂っていき、神殿自体も赤く染まっていった。

俺は大いに喜んでいた。
シージが始まれば、生贄が増えることを喜んでいた。
人間のキャラバンを罠にはめて殺した。
野生動物を怒らせて罠にはめた。
Armok神は俺の信仰心を褒めていたことだろう。

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狂気に気づくのと同時に、血まみれの道を歩んできたことに気づいた。
通りは血に染まり、坑道には赤い川が流れ、
ドワーフたちは血を見たいという欲求で発狂していた。
俺は何をすべきか気づいた。

セーブして、セーブデータを512MBのショボいUSBメモリに移し、HDDからは消去した。
そして裏庭にメモリを埋めた。

俺が覚えている限り、それは今もそこにあり、
その渇望でゆっくりと大地を汚している。

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The Crimson Pyramid 完