2013年1月20日

DF Tips: 11. 兵士が矢を撃たない場合のチェックリスト

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DF Tips: 11. 兵士が矢を撃たない場合のチェックリスト

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0.アウトライン

兵士が矢を撃たない場合のチェックリストをまとめてある。
それ以前にボウガンを兵士に装備させる方法については触れていない。

詳細を省いて書くと下の通り。

(1)十分な数のCrossbowがある
(2)十分な数のQuiverがある
(4)十分な数のBoltがある
(3)部隊にBoltが配分されるようにAmmoを設定している

以下では多少詳しい手順を書いていく。

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1.十分な数のCrossbow/Quiver/Boltがある

これらは全部まとめて[z]Status -> Stocks から確認出来る。


Stocksでは要塞内のアイテムがカテゴリ別に網羅されている。
それぞれCrossbowはweapons、Quiverはquivers、
Boltはammunitionのカテゴリに入っている。

CrossbowとQuiverは射撃手の人数分必要。
装備にCrossbowを指定された兵士は自動的にquiverも装備しようとする。
Boltの数についてはこの後また触れる。


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2.部隊にBoltが配分されるようにAmmoを設定している

[m]military -> [f]Ammunition でAmmoの割り当てに移る。
ここでは兵士の他にハンターにもAmmoが割り当てられている。


もし射撃手のいる部隊がno ammunitionになっていたら、
[c]Add item -> bolts でboltを割り当てる。


デフォルトだと100本が割り当てられる。
この数は部隊全体に割り当てられる量になっている。
射撃手ひとりあたり20-30本と考えて増減させるといい。

ただし、リストの上にある部隊から確保していくので、
あまり多く取り過ぎると他の部隊に回らなくなる。

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おわり

2013年1月19日

DF Tips: 10. Quickfortを使う

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DF Tips: 10. Quickfortを使う

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1.Quickfortとは何か

Dwarf Fortressの補助ソフト。
csvの設計図を使い、大量の掘削指示をあっという間に実行してくれる。

延々と階段を掘ったりするとき、
下り階段の下にまた下り階段を作るミスをしたら導入を考える時かもしれません。

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2.DL、インストール、起動

(1) 公式からDLする。

http://www.joelpt.net/quickfort の上の方にある、
"Download latest version of Quickfort (under 'Download Packages')"から

(2) 展開して適当な場所に置いておく


(3) DFが起動した状態で、Quickfortを起動する

Quickfortがタスクトレイに表示される

(4) 起動後のチェックが行われる

QuickfortがDFの設定を読み込んで、場合によっては警告を出してくる。
何でも良いがとりあえずNOを押しておく。


(5) DFウィンドウにツールチップが表示される


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3.実際に使ってみる

まずは使ってみよう。各操作はDFウィンドウで行う。

(1) [Alt+F]でBlueprintを読み込む。

同梱されているサンプルを使う。
".\Quickfort\blueprints\Tests\spiral-staircase.csv" を読み込む。
読み込むと確認ウィンドウが開くのでOKを押す。


ツールチップが大きくなって面食らうが次に進む。
なお、ツールチップのサイズは[Alt+M]で変更出来る。


(2) [d]キーのカーソルで位置を指定する

初期設定なら×印の位置が設計図の左上として扱われる。


(3)[Alt+K]でkeyモードにする

ツールチップの下の方に現在のモードが表示されているので確認しておく。

(4) [Alt+R]で繰り返しを設定する

試しに下に3回繰り返してみる。繰り返さない場合は飛ばしていい。
設計図は下に2階層分あるので、2*3で6階分の階段が指示されることになる。
文字の対応は下がd、上がu、東西南北はewsn。


(5) [Alt+D]で実行する

目にも留まらぬ速さで指示が出され、カーソルが初期位置に戻ってくる。
止まるまでキーを押さないこと。
keyモードだと実行中にもキー入力が効いているので。



(6) 結果を確認する

とりあえずこれで基本的な操作はおしまい。
[Shift+Alt+X]でQuickfortを終了できる。
また[Shift+Alt+Z]でサスペンドも出来る。終了はしないがキー入力を受けなくなる。

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4.操作方法一覧

よく使うものだけ載せてあります。
全部知りたい場合はツールチップやreadmeを読んで下さい。

Blueprintの読み込み: Alt+F
リピートの設定: Alt+R
掘削指示の実行: Alt+D
モード変更: Alt+L
ツールチップを隠す: Alt+H
ツールチップを小さくする: Alt+M
Quickfortのサスペンド: Shift+Alt+Z
Quickfortの終了: Shift+Alt+X

注意:「掘削指示の実行」の前に、[d]のカーソルで位置を指定しておくこと。

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5.備考

・DFのフォーラムにあるQuickfortのトピック
 http://www.bay12forums.com/smf/index.php?topic=35931.0

・実のところ、ノーウェイトにしたmacroモードでやった方が速い
 起動時のチェックはマクロの速度設定をノーウェイトに変更するか聞いている。
 ただ変更を有効にする為にはDFの再起動が必要で、面倒くさいのでkeyモードを使った。

・自分で設計図を書く場合はサンプルのcsvとにらめっこして下さい
 他にも、公式の"Community submitted blueprints"に
 親切な人達が作った設計図が沢山上げられています。ありがたいですね。
 http://www.joelpt.net/quickfort/

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おわり

2013年1月15日

Dog-man

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Dog-man

From Threetoe's Stories(June 20, 2006)
http://www.bay12games.com/dwarves/story/tt_dogman.html

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何百年も前から、Anorの村には山の伝説が伝えられていた。
時が過ぎるにつれて、その物語を語るものは長老たちだけになった。
大食堂(※1)に集まっている若者たちにとっては、
その物語は子供が野営の火から離れないよう脅かすためのお話程度の扱いだった。

伝説の細部は語り手ごとに違っていたが、そのどれもが、
山には地獄の底から現れた巨獣が棲んでいるという内容だった。
ある話ではそれは数百年に一度現れて人間を食いまくる、
他の話ではAnorの民が奢ったときに現れるのだと言われていた。

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大食堂にて、Grothがシュタインを一気にあおった。
周りの男たちは笑い、男らしさの印として互いの手を打ち鳴らした。
そこに臆病者が片足を引きずりながら部屋に飛び込んできた。
その男の額には村で家畜に使っている焼印が押されていた。
彼は犬男と呼ばれていた。あらゆる犯罪で彼が加担しないものはなく、
しかも罰を受けるほどに邪悪の度合いを深めていくような男だった。

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「山を見つけたぜ!」獣のような目の犬男が言った。
「うるさいぞ犬」Grothが言った。「何千年も前から、その山に行って帰ってきた奴はいねえんだ」
「俺がそうだ!そして俺は見たぜ!コボルドどもの黄金をな!」
男たちは笑いとばしたが、上機嫌だったのと酔っ払っていたのとで、話を続けさせてやった。

犬男は男たちに話した。
金銀じゃらじゃらのコボルドの群れを見たのだと。
そして、いにしえのドワーフフォートレスに繋がる巨大な門を、
森の奥に見つけたのだと。これは村に帰ってきてから気づいたことで、
その時は長老たちの話に出てくるあの山だとは気づかなかったのだと。
男たちは更に大きく笑った。ご先祖様はコボルドなんかにびびっていたのか?

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彼らは犬男の首輪にひもを繋ぎ、男らしい歌を歌いながら森へ向かった。
話に出てきた門を見つけると、Grothはひもを辺りの木にくくりつけた。
犬男が大声でわめき立てたので、男たちはコボルドが怖いなら大人しくしろと叱りつけた。
洞窟に男たちが入っていくのを見届けると、犬男は木をかきむしった。
これ以上ないほどの叫びが洞窟から轟いた。
門から火球が飛び出し、その後から獰猛な黒竜が姿を現した。
犬男は負傷した手で顔を覆った。その耳に空へ舞い上がる竜の羽ばたきが聞こえてきた。
彼は指の隙間からそれを見てにやりと笑った。
黒い翼が空を越えてゆく、Anorの方角へと。

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Dog-man 完

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分析(Analysis)

コメント
犬男は引退したプレイヤーを想定している。悪いプレイヤーを。

文明
・巨獣が侵入者に刺激され、文明まるごとお仕置きすることがある
・浮かれた雰囲気で騒ぐ時や、旅の共として明るい歌を歌う
・飲酒作法:一杯のカップに数口分が入る。またそれをゆっくり飲んだり、
 回し飲みしたり、一気に飲んだりできる。
 酒の度数によって一気飲みの受け取られ方は異なりうる。
・ある集団の一員はその集団のペットのように扱われることがある。
 特に、犬のような従属的なペットのように。

クリーチャー
・人はニックネームをつけられることがある。
 それは過去の行動、集団内の立場、肉体的特徴などに関連しうる。
・嘘で他人をどこかに連れ出すことがある。
・長期間をまたぐ周期的行動パターン(特に大きな獣たちにおいて)
・先天性、あるいは怪我のよくない治り方による不具。
・地形や建物を人がひっかくと負傷することがある。
 出血やつめの破損など。剥がれた爪はあとで拾うことが出来る。

アイテム
・物体は擬人化されうる。

伝承(Legends)
・伝承は時間と時と共に忘れられていく。
 重要な人物、本、あるいは失われた本によって保存される。
・偽の伝承:
 ・子供を脅かすための話
 ・人は本当の伝承と偽の伝承を混同する
 ・(Legendを一覧する)Legends screenに不正確な伝承が入りうる
 ・単独の歴史上の出来事が複数の話になりうる
 ・多くの伝承には語り手による味付けが付属しうる

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訳注
(※1)Mead hall。大雑把に言うと暗黒時代の町の中心。
使われた時代が広く、外見も様々なので、
ググって写真を見てもらうのが手っ取り早いと思います。

2013年1月13日

Dragon Rider

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Dragon Rider

From Threetoe's StoriesThreetoe (May 31, 2006)
http://www.bay12games.com/dwarves/story/tt_dragon_rider.html

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黒竜Mirclothの背に乗って、Felcliffは山の要塞から飛び立った。
竜は彼にだけ聞こえる言葉を操った。その声は彼の精神に直接話しかけてきた。
その内容のほとんどは空腹について、そして
その時にはFelcliffをどう食うかということばかりだった。
初め彼はその声に大いに恐れたが、
彼の命令にMirclothが従い、敵の街を焼き尽くすことを何度も経験してからは
連れにもずいぶんと慣れていった。

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配下のゴブリン軍団の上空を、黒竜とFelcliffが飛んでいく。
Domesphereの白城は目の前だった。
竜は降下し、巨大な火球を吐いて門を破壊した。
Felcliffは彼の軍勢が街に雪崩れ込むのを見て高らかに笑った。

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何処かからの声が彼の精神に響いてきた。
体を動かして食欲が湧いてきた。声はそう言っていた。
もはやFelcliffの頭には勝利など何処かへ消えてしまった。
Mirclothが首を曲げ、背中に乗せたFelcliffの顔を見ていた。

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黒竜とFelcliffが要塞に帰ってきた。
Felcliffは不気味な連れを要塞地下の棲家に残し、
無人の大ホールにある彼の玉座に座り込んだ。
闇の底から小さな声が、彼の精神に送り込まれてきた。

三日。

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Dragon Rider 完

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分析(Analysis)

魔法
・テレパシー:特殊なペットとの絆。魔法ということもある。
 種族に基づく力、一方通行/双方向、自発的/強制など色々ある。
・クリーチャーは彼の主人(Owner)に魔法的な絆をもつが、
 自由になった時に何をするか考えることもできる。

2013年1月12日

気になっているタイトル(2013/01)

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 D.C.3~ダ・カーポ3~ オープニングムービー



アニメが始まったのでふと見てみました。いわゆるニワカです。
そしたら衝撃を受けました。すごい…胸推し。言葉を選ばざるをえない。

決して嫌ではない、いやむしろ大歓迎なんですが
ダ・カーポってこんなあからさまでしたっけ?
もうちょっとこう、色気で勝負できないタイプだとばかり思っていました。
自分の不見識に恥じ入りつつ、食い入るようにアニメを見ようと思う次第です。

あとゲーム版もやりたいです。まずは2から。

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 SMILE(スミレ) 『ラヴレッシブ』



金髪のキャラが大変かわいいです。
ストーリーは4人による告白からスタートと、かなりの割り切りっぷりです。

それよりこのムービーで注目して欲しいのが、ミニキャラの下半身です。
下半身というか脚です。履物です。つまり靴とソックス。
制服が着こなしまで統一されている一方、
履物はわりと律儀に差別化されていて、それがなかなかハマっています。

キャラクター紹介ページでは足先まで文字も被らず見れます。
(少なくともメインキャラは)
http://s-mi-le.com/loveressive/chara02
こういうの結構好きです。ゲーム中あまり見えない部分ではありますが。

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yatagarasu 『星彩のレゾナンス』



お胸とおみ足でかなりの満足感を得ました。次に進みます。

ここは毎回チャレンジングなシステムを作っています。
主人公が男女選べるとか、3D戦闘とか。

そして今回はシステムだけでなくストーリーもチャレンジングです。
具体的には百合ん百合んです。素敵。
もうちょっと嬉しそうにしてもいいですかね。ハラッショー!

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WHITESOFT 『運命が君の親を選ぶ 君の友人は君が選ぶ』


そして、いま一番楽しみなゲームがこれ。
まだムービーが出てないのでバナーだけです。

ちょっと他ではあまり扱わない素材が出てきます。
http://white-soft.jp/products/unmei/story.htm
ご覧くださいこの壮大な章タイトルを。
アニマ・ムンディで一体どういう話が出てくるのやら。

多分あんまり理解出来ないんだけど、
綺麗な声による説明ってそれだけで楽しいと思うわけです。



The Beast

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The Beast

From Threetoe's StoriesThreetoe (January 22, 2007)
http://www.bay12games.com/dwarves/story/tt_beast.html

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冷たく湿った森。高い枝の隙間からまばらな光が差し込んでいる。
Caltronは何か生き残る助けになる道具を求めてポケットを探りながら、
自分を置きざりにしていった移住者たちを呪っていた。
「俺はこの土地で一番のトラッカーだ」と言い放ったのも事実なら、
この一日のあいだに連中の荷馬車を完全に見失ったのも事実だった。

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あの夜、移住者たちは若いトラッカーをわざと酔っ払わせた。
そして翌朝になって彼が目覚めた時、周りには誰も居なくなっていた。
彼のポケットは空になっていた。残っていたのはブーツだけだった。
ブーツは切り株の横に捨てられていて、連中が試しに履いてみたのは明らかだった。
Caltronのブーツが小さくて合わないから捨てていったのだ。

とぼとぼ歩く彼のブーツに、松の葉まじりの泥が跳ねてかかる。
彼の技能は自分で思っていたほどではなかったが、
荷馬車の残した深いわだちを見つけることは出来た。
夜中には移住者たちがキャンプを張る。そうしたら荷物を取り戻せるかもしれない。
彼の燃える肺から押し出された息が、冷たい空気のなかで曇ってみえた。
わだちは木の密集した部分を避けて川に向かい、、
そのまま馬車が渡れる浅瀬を見つけるまで川沿いに進んでいた。
Caltronはそこで一度休憩をとることにした。
手ですくって飲んだ水は凍るように冷たかった。
彼は身震いし、立ち上がってわだちの追跡を再開した。

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Caltronの顔に笑みがうかんだ。
足元の泥のなかで、荷馬車のわだちの上に新しいわだちが交叉している。
彼らはぐるっと回ってしまったのだ。
わだちの続く先から、誰かの罵り声が聞こえてきた。
彼は満足し、踵を返して木々の中に引き返した。
Caltronは微笑みながら腕を組んで木にもたれかかり、そのまま地面までずり落ちた。
時間が過ぎていった。
小動物たちが頭上の枝を走り、遠くからは鳥の歌声が聞こえてきた。
雲が割れ、森の土に光が降り注いだ。
周囲に茂った鮮やかなシダを、腐った倒木に生えた色とりどりのキノコを彼は眺めていた。
不安だった心がしばしのあいだ安らぎ、彼は夢の世界へと入っていった。

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彼ははっと目を覚ました。森が墓場のような静寂につつまれていた。
茂みの向こうに、大きく、恐ろしい目が見えた。
下生えの中から獣が姿を現した。
牙から唾液を滴らせながら、それはCaltronに近づいてきた。
彼は飛び上がり、腕を振って力の限り叫んだ。
獣の背に、輝く縞模様の毛並みが見えた。
Caltronは木々のほうへ後ずさり、獣が見えなくなると全力で逃げ出した。

彼は取り乱していたが、必死で理性を失うまいとしていた。
あの獣から身を守るために使える唯一のものだから。
これまで辿ってきた荷馬車のわだちを逆に走り戻った。
この道を戻れば森から出られる。だが、走り続けたとしても数日かかるだろう。
彼のブーツは泥に沈み、一歩一歩が苦しくなってきた。

川まで戻ってきた彼は一度止まり、また水を飲んだ。
水面から顔を上げると、またあの目が見えた。
Caltronは河に手を突っ込んで石を拾い、目に向かって投げつけた。
目はまばたきし、見えなくなった。

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獣の腹は飢えに焼かれるようだった。
彼は前足を舐め、石が当たって痛む鼻にそっと触れた。
森の鹿を追うには年をとりすぎてしまったし、川の魚は数が減ってしまっていた。
新しい獲物のことを考えて涎が出てきた。
鹿は速い、だがあれは遅い。いきなり大きくなった時には驚いたが、
よく見れば馬鹿な鳥のように二本足で走るだけに過ぎない。
楽勝な上に大きい獲物だ。
鼻がつんと痛んだ。だが、危険だ。
慎重にやるにこしたことはない。

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男が夜のためキャンプを張る周囲を、獣がぐるぐると回っていた。
Caltronは獣がそこに居るのに気づき、油断せず、茂みに背中を見せないようにしていた。
暗くなるにつれ、獣は動きを速めた。
男が疲れたその瞬間、獣は襲いかかるだろう。
ふと異臭が漂ってきた。
小さな火が焚かれている。
獣はのけぞり、後ろ足で立ち上がった。

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火。かつて住んでいた森から彼を追い払ったものが火だった。
火は彼の伴侶と子供たちを飲み込んだ。そして新しい森を求めて何日もさまようことになった。
獣が知っている火とはそういうものだった。

獣はキャンプから離れたが、数時間のあと、空腹のために戻ってきた。
火は大きくなっていなかった。森を飲み込んではいなかった。
相変わらずそこにあったが、それよりも人間の肉の匂いに抗えなかった。
獣は忍び寄り、Caltronが背中を向けた瞬間を狙って襲いかかった。
だが老いた体が彼を裏切り、動きが鈍ってしまった。
Caltronは向き直り、火のついた枝を獣の顔めがけて投げつけた。
人間の企みに気づいた獣はすぐにそれを避けた。
いくつもの火に、恐怖が獣の全身を走った。
だが飢えもまた狂ったように責め立てていた。
男が枝を尖らせた槍を突き出した。獣はそれを爪で打ち払ったが傷を負った。
切りつけられた獣は叫びを上げ、森へと駆け戻った。

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天候が悪化していく中、獣はキャンプの周りを回っていた。
Caltronは凍え、追い詰められていた。
次の早朝、獣は自身の隠れ場所にCaltronが向かってくるのを見ていた。
立ち止まった男は、膝をついて槍を頭上に掲げた。
意味が分からないままの獣に向かって彼は話しかけた。
そして彼がキャンプを去ったので、獣も隠れたままついていった。

彼らは河を渡り、荷馬車のわだちが交叉していた場所まで戻ってきた。
そこで足を止めたCaltronは獣の居る方向に向き直り、
手に持った槍でわだちを指して、獣に話しかけた。
獣はそれを理解できなかったが、その光景には見覚えがあった。
追い詰められた獲物はしばしば理性を失うのだ。
その時、獣の鼻が何かを嗅ぎとった。もっとたくさんの獲物がいる。
獣はCaltronを置き去りにして、匂いのもとへと忍び寄っていった。

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河からそう遠くない場所で荷馬車が壊れていた。
そこでは車輪の修理にしくじった移住者たちが酒を飲んでいた。
その中で一番の阿呆、太ったひげの男がCaltronを呪っていた。
彼はCaltronを殺しておくべきだった。

男が投げた瓶が木にあたって砕け、それに怯えた子供たちを彼の妻があやした。
茂みの奥から低いうなり声が響いてきた。
太った男はうなりかえし、笑いながらナイフを抜いた。
千鳥足で茂みに向かっていく彼を見て、妻はやめるように頼んだが、
オレンジと黒の毛皮が光り、一瞬のうちに彼の命を断った。

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Caltronは再び茂みに向かって声をかけ、
獣にスパーリングの礼をいい、森から歩き去っていった。

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The Beast 完

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分析(Analysis)

クリーチャー
・飢えた獣の牙から垂れる唾液(あるいは毒)が見える
・種族ごとに異なる発声パターンがあり、
 プレイヤーはそれと知識を照らし合わせることでクリーチャーを識別出来る。
 それらの音声は受け手ごとに異なる反応を引き起こしうる。
・大きな音を立てたり、姿を大きく見せることで準知的生物をおどかす
・種族ごとに負傷への反応が異なる
 またグルーミングなど傷を手入れする行動をもちうる
・加齢による能力の衰え
・傷を負った際に用心深くなる
・親が子を気にかける
・うなる
・人は馬鹿な行いをする他者を止めようとする

アイテム
・人によるサイズの差異がグラデーション状で、
 サイズが合わないものを身に着けると不快を生じる

環境
・日光が植生によってカットされる
・木々のあるところ(特に伐採が行われた場所)には切り株があり、
 植物性のごみがあったり、茸や苔、蔦が茂る。
・汚い場所では靴が汚れる
・地面の状態によっては馬車のわだちが長く残る
・寒いと放出された息が見える
・寒い場所での呼吸で肺が痛む
・寒さで体が震える
・馬車などの装備は植生が濃い場所を通れない
・ワールドマップにおける川の自然な湾曲
・流水の速さは変化しうる
・不安定な地面では部分的な沈下が発生し、移動を妨げる
・解決不能な問題にぶつかったとき、酒に走ることがある

戦闘
・方向性を持って走るとき、「戻る方向に走る」という選択肢がいる
・狩猟型クリーチャーは逃げる奴を追う傾向がある
・クリーチャーは襲撃(アンブッシュ)の前に身を隠して機をうかがう事がある

伝承(Legends)
・クリーチャーの過去に関与する人、物、場所が感情を引き起こすことがある
 例えばトラウマに関与する出来事が恐怖を引き起こす
・クリーチャーは難しい獲物を諦めて他にいくことがある

シナリオ
・信用を悪用して誰かを泥酔させ、利益を得ようとする