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Journal of Kith
(1) (2) (3)
原著: Anonymous of /tg/
http://1d4chan.org/wiki/Journal_of_Kith
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(3・完)
石灰岩の月10日:
Boatmurderedのドワーフ達は象に対して何らかの嗜好(あるいは嫌悪)を持っていたようだ……。
とにかく沢山の彫刻、立像、アミュレットやらなんやらに多種多様な象が描かれていた。
檻に入った象、ドワーフに殺される象、ドワーフを殺す象、様々なポーズの象、
沢山のドワーフを殺す象、沢山のゴブリンを殺す象、更に沢山のドワーフを殺す象。
同行者の1人はある戦場を描いた連作を見て嘔吐した。
闘犬が子供を産んで、子犬までも戦いに加わる。
ドワーフと象が斬り合い踏み潰しあって死んでいく。
最後に誰かが、荒っぽく刻まれたメッセージを見つけた。
”ようこそBoatmurderedへ。ここに入りしドワーフは一切の望みを棄てよ。”
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石灰岩の月11日:
花崗岩のアミュレットを完成させた。黒玉の棘がついていて、
ドワーフと蛸めいた悪魔の画が彫られている。
悪魔はドワーフに名状しがたい行いをしている。
それを見た同行者達は奇異の目で私を見てきた。
----------------
石灰岩の月13日?:
おお神よ、我々が何をしたというのか。同行者の2人が……死んだ。
他の2人がどこに居るのかも分からない。
我々が坑道の奥へと進んでいた時、どこからともなく叫びが、
憤怒と苦痛に満ちた、悪魔のような怒りの叫びが響いてきた。
そしてドワーフがーー私は確かに見たーー通路の闇から現れた!
彼は炎に包まれていた!爪先から頭まで燃え上がり、髭は山火事のごとく、
その両目は溶けた金属のように白熱していた!
そして直後、燃え上がるドワーフは同行者の一人を引き倒して火だるまにした。
他の者が火を消そうと近寄ると、ドワーフはその者を掴んで、
彼の頭を壁に叩きつけた。濡れた音がした……。
私は逃げ出した。永遠に濯げぬ汚名。
そして私は今、坑道の中で道を見失い、途方に暮れている。
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石灰岩の月??日:
私は恐ろしい。私はこの呪われた場所で死につつある。
Dodokと名乗る幼い少女と出会った。
こんな場所で、こんな子供が1人でどうやって生きてきたのかは分からない。
だが今、私は1つ疑惑をもっている……。恐ろしい疑惑を。
(不幸にも)同行者の生き残り2人を偶然見つけた時、
あの恐ろしいドワーフがそこに居て、彼らを解体していたのだ……。
ドワーフの燃える手が私の首を掴んだ。手の熱が私の皮膚を沸騰させるのを感じた。
突然、少女が私の命を救った。彼女は、先に私があげたアミュレットを
燃える悪魔の頭に投げ当てて叫んだ。「だめ!だめ!Sankisおじさん!いけない!」
ドワーフは私を地面に落とした。そして少女は悪魔の燃える手を取ったが、
炎が彼女を焼くことはなく、そのままどこかに連れていった。
何故炎は彼女を避けたのか……それよりも、Sankisおじさん?
あの悪魔のようなドワーフは、これまでの彫刻を施した張本人で、
皇帝”髭無し”Sankisなのか?
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石灰岩の月??日:
坑道の中を流れる河を、終わりなく溶岩が流れこむChasmを見た。
斜面に沿って立ち並ぶ、錆びて使えなくなった溶鉱炉を見た。
どれだけの時間が経ったのだろう。
小さな食料庫を見つけたので、すぐに餓死することはなかった。
Sankisによる数十、数百の彫刻を見た。
様々な形の財宝を見つけた。
この地獄から抜け出す道と交換すると言われたら、喜んで差し出しただろう。
悪魔のドワーフも、奇妙な少女も見かけることは無かった。
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石灰岩の月??日:
更に無数の彫刻を見つけた。
そして歴代の支配者の墓を見つけた。皇帝Sankisの墓は……空だった。
扉は中から打ち破られて、その周りの石は黒く焼け焦げていた。
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??日:
以前は自分の死を恐れていた気がするが、
今では、自分が発狂しつつあるのではと恐れている。
ドワーフを踏みつぶす象の彫刻を見つけたのだが、その目が…
その目が私を見ている気がした。私を殺したがっている気がした。
そして、悪魔のドワーフを再び目撃した。少女と遊んでいた。
彼は私を見てきたが、少女が笑い、石のボール遊びを続けようとすると目を離した。
ボール遊びに飽きた彼らが立ち去った後に、その石が落ちていた。
ドワーフの頭蓋骨だった。
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??日:
花崗岩のアミュレットを完成させた。木の棘がついていて、
ドワーフが人間を打ち倒す画が彫られている。
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??日:
玄武岩のアミュレットを完成させた。玄武岩と花崗岩の棘がついていて、
象がドワーフを打ち倒す画が彫られている。
----------------
??日:
木のアミュレットを完成させた。皮と花崗岩の棘がついていて、
燃え上がるドワーフの画が彫られている。
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??日:
砂岩のアミュレットを完成させた。砂岩と皮の棘がついていて、
象とドワーフとゴブリンの画が彫られている。
象がドワーフを笑っている。ゴブリンがドワーフを笑っている。
----------------
??日:
苦灰石のアミュレットを完成させた。珪化木と雪花石膏の棘がついていて、
象とドワーフと蛸の悪魔の画が彫られている。
蛸の悪魔がドワーフに名状しがたい行いをしている。象がドワーフを笑っている。
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??日:
石英岩のアミュレットを完成させた。粘板岩の棘がついていて、
ドワーフ達の画が彫られている。
1人のドワーフは燃え上がり、1人のドワーフはドワーフを打ち倒している。
----------------
??日:
大理石のアミュレットを完成させた。黒玉と縞瑪瑙の棘がついていて、
象、ゴブリン、人間、ドワーフ、そして私の画が彫られている。
象が燃えている。ゴブリンが燃えている。
人間が燃えている。ドワーフが燃えている。私が燃えている。
象が叫んでいる。ゴブリンが叫んでいる。
人間が叫んでいる。ドワーフが叫んでいる。私が叫んでいる。
----------------
読み終えたドワーフは、ボロボロになった革装の日記をゆっくりと机に置いた。
彼はこの日記を、奇妙なアミュレットと共に交易商から買い取った。
アミュレットは今、部屋の隅の卓の上に置かれている。
それは大理石のアミュレットで、黒玉と縞瑪瑙の棘がついていて、
2人ドワーフと、ドワーフの少女の画が彫られている。
1人のドワーフは燃えている。
燃えるドワーフが他のドワーフを打ち倒している。
ドワーフの少女は打ち倒されるドワーフを見て笑っている。
(Journal of Kith 完)
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2012年2月6日
2012年2月5日
Journal of Kith (2)
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Journal of Kith
(1) (2) (3)
原著: Anonymous of /tg/
http://1d4chan.org/wiki/Journal_of_Kith
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(2)
粘板岩の月27日:
我々が出立する直前、昨日のドワーフが私を呼びよせて、
「BoatMurderedを探すのはやめておけ」と言ってきた。
彼はそこを「邪悪の巣窟」と呼び、「そこに行けば焼かれてしまう」と言った後、
”全て燃えた”とか何とか言いながら離れて行った。変な奴だった。
----------------
珪長岩の月7日:
滑石のアミュレットを完成させた。滑石の棘がついていて、
ドワーフが人間と話している画が彫られている。
珪長岩の月19日:
片麻岩のアミュレットを完成させた。泥板岩と粘板岩の棘がついていて、
人間が人間を笑っている画が彫られている。
----------------
珪長岩の月22日:
負傷者が出た。同行者の1人が河で水を汲んでいる最中に転倒し、
河の中の石に頭をぶつけて気絶した。彼を引き上げるのは一苦労だった。
彼と旅をしていた女性が河に飛び込んで彼を抱え、他の者はロープを
投げて2人を引っ張り上げた。
珪長岩の月25日:
同行者が肺炎にかかり、治療のため1、2週間立ち止まることになった。
我々は、なんと人間とドワーフが混在する開拓地に滞留している。
こんなことがありえるとは思わなかったが、ともあれ、
我々は各々が好きな場所に泊まれる事になったーー私は地下の、
岩貼りの心地よい部屋を選んだが、同行者達は木の部屋が良いと言っていた。
人間とは変わった生き物だ。
----------------
赤鉄鉱の月28日:
我々の同行者の治療により、結果的に1ヶ月以上もここ
(ドワーフ語でKosothlular、人間語でSentil)に留まることになった!
ともあれ幸運にも彼は回復し、我々は旅を再開した。
またしても、開拓地の住人からはKoganusanの情報を得ることは出来ず、
行ってはならないという暗号めいた警告を受けるだけだった。
しかし、同行者の人間たちが泊まっていた宿の給仕からヒントを得ることが出来た。
彼女の父親が、閉鎖される前のKoganusanを訪れたことがあるというのだ。
教えられた場所を同行者の地図と比較して、あと1ヶ月ほどの距離だと分かった!
----------------
孔雀石の月14日:
苦灰石のアミュレットを完成させた。片麻岩と石灰岩の棘がついていて、
象がドワーフを笑っている画が彫られている。
孔雀石の月25日:
地図によればKoganusanが近い、と同行者から報告された。
地平線上に象を発見した。
孔雀石の月28日:
縞瑪瑙のアミュレットを完成させた。黒玉の棘がついていて、
象がドワーフを打ち倒している画が彫られている。
----------------
方鉛鉱の月10日:
ついにKoganusanを発見した!
同行者によれば、強行軍で1週間、そうでなければ2週間の距離だという。
ここからでも何か……見えるような気がする。
方鉛鉱の月11日:
黒玉のアミュレットを完成させた。花崗岩と砂岩の棘がついていて、
ドワーフが象を馬鹿にしている画が彫られている。
方鉛鉱の月25日:
石英岩のアミュレットを完成させた。石英岩と木の棘がついていて、
3人のドワーフの画が彫られている。3人のうち、
1人は縮こまり、1人は火に焼かれ、1人は丸くなっている。
方鉛鉱の月28日:
Koganusanが近い。もう一週間もすればBoatmurderedの土地に到着し、
更に数日で入り口に行けるだろう。
これはドワーフ族にとって歴史的発見である。
----------------
石灰岩の月4日:
成功だ!私の見通しは間違っていたーー我々は今日、Koganusanの入り口に到着した!
伝説の地を発見して興奮している私に対して同行者達は、
ここにキャンプを張り、坑道に入る前に2日ほど周囲を探索したいと言ってきた。
私もそれがいいと思い同意した。
石灰岩の月5日:
Boatmurderedの周囲の森は……奇妙だ。草木は小さく、形も歪んでいて、
地面は奇妙なことに火成岩と軽石で覆われている。
これは過去に相当な量の溶岩が流れたことを示している。
おかしなドワーフが言っていた”燃える”とはこの事なのだろうか?
石灰岩の月6日:
同行者達が動揺している。我々は今日、ゴブリンサイズの装備を数十と、
数頭の象のものと思われる骨を発見した。
そういえば少し前、河の向こうに獣の群れを目撃していた。
彼らが私を見つめているような気がした……。
石灰岩の月7日:
黒曜石のアミュレットを完成させた。玄武岩と花崗岩の棘がついていて、
象がドワーフを打ち倒し、ドワーフがうずくまっている画が彫られている。
----------------
石灰岩の月8日:
冒険を続けるよう同行者を説得し、Koganusanの坑道に入ることにした。
入り口は大量の骨……のような何かで塞がれていた(何の骨か書くことは出来ない)。
坑道に入った直後、我々は壁に彫られた大量の彫刻を目にした。
彫刻師の名はSankis。奇妙なことに彼は他の彫刻において
”皇帝”と”髭無し”の称号を宣言していた……。
彫刻それ自体はどうやら、坑道のドワーフ達と沢山の象との、
壮大な戦いを描いているようだった。
ホールに施された彫刻では、ゴブリンたちのSiege、それも数度に渡るSiegeや、
マンドリル達との争い、そしてまた象との争いが描かれていた。
----------------
石灰岩の月9日:
坑道を進み、更に彫刻を見つけた。恐ろしい画がいくつもあった。
あるものでは溶岩流が隊商を、象の群れを、ゴブリン達を飲み込んでいた。
叫びを上げる人間たちの画はまるで……精密だった。
他のもの(Green Bileの墓と名付けられていた)では、1人の人間が燃え上がり、
叫びを上げ、体を焼かれ、叫びを上げ……
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石灰岩の月10日:
Boatmurderedのドワーフ達は象に対して何らかの嗜好(あるいは嫌悪)を持っていたようだ…。
とにかく沢山の彫刻、立像、アミュレットやらなんやらに多種多様な象が描かれていた。
檻に入った象、ドワーフに殺される象、ドワーフを殺す象、様々なポーズの象、
沢山のドワーフを殺す象、沢山のゴブリンを殺す象、更に沢山のドワーフを殺す象。
同行者の1人はある戦場を描いた連作を見て嘔吐した。
闘犬が子供を産んで、子犬までも戦いに加わる。
ドワーフと象が斬り合い踏み潰しあって死んでいく。
最後に誰かが、荒っぽく刻まれたメッセージを見つけた。
”ようこそBoatmurderedへ。ここに入りしドワーフは一切の望みを棄てよ。”
(3)に続く
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※訳注
前回の訳注にあったBoatMurderedの原文を見ると、
http://lparchive.org/Dwarf-Fortress-Boatmurdered/Introduction/
実は1ページ目に既にSankisの名前が出ている。
Journal of Kith
(1) (2) (3)
原著: Anonymous of /tg/
http://1d4chan.org/wiki/Journal_of_Kith
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(2)
粘板岩の月27日:
我々が出立する直前、昨日のドワーフが私を呼びよせて、
「BoatMurderedを探すのはやめておけ」と言ってきた。
彼はそこを「邪悪の巣窟」と呼び、「そこに行けば焼かれてしまう」と言った後、
”全て燃えた”とか何とか言いながら離れて行った。変な奴だった。
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珪長岩の月7日:
滑石のアミュレットを完成させた。滑石の棘がついていて、
ドワーフが人間と話している画が彫られている。
珪長岩の月19日:
片麻岩のアミュレットを完成させた。泥板岩と粘板岩の棘がついていて、
人間が人間を笑っている画が彫られている。
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珪長岩の月22日:
負傷者が出た。同行者の1人が河で水を汲んでいる最中に転倒し、
河の中の石に頭をぶつけて気絶した。彼を引き上げるのは一苦労だった。
彼と旅をしていた女性が河に飛び込んで彼を抱え、他の者はロープを
投げて2人を引っ張り上げた。
珪長岩の月25日:
同行者が肺炎にかかり、治療のため1、2週間立ち止まることになった。
我々は、なんと人間とドワーフが混在する開拓地に滞留している。
こんなことがありえるとは思わなかったが、ともあれ、
我々は各々が好きな場所に泊まれる事になったーー私は地下の、
岩貼りの心地よい部屋を選んだが、同行者達は木の部屋が良いと言っていた。
人間とは変わった生き物だ。
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赤鉄鉱の月28日:
我々の同行者の治療により、結果的に1ヶ月以上もここ
(ドワーフ語でKosothlular、人間語でSentil)に留まることになった!
ともあれ幸運にも彼は回復し、我々は旅を再開した。
またしても、開拓地の住人からはKoganusanの情報を得ることは出来ず、
行ってはならないという暗号めいた警告を受けるだけだった。
しかし、同行者の人間たちが泊まっていた宿の給仕からヒントを得ることが出来た。
彼女の父親が、閉鎖される前のKoganusanを訪れたことがあるというのだ。
教えられた場所を同行者の地図と比較して、あと1ヶ月ほどの距離だと分かった!
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孔雀石の月14日:
苦灰石のアミュレットを完成させた。片麻岩と石灰岩の棘がついていて、
象がドワーフを笑っている画が彫られている。
孔雀石の月25日:
地図によればKoganusanが近い、と同行者から報告された。
地平線上に象を発見した。
孔雀石の月28日:
縞瑪瑙のアミュレットを完成させた。黒玉の棘がついていて、
象がドワーフを打ち倒している画が彫られている。
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方鉛鉱の月10日:
ついにKoganusanを発見した!
同行者によれば、強行軍で1週間、そうでなければ2週間の距離だという。
ここからでも何か……見えるような気がする。
方鉛鉱の月11日:
黒玉のアミュレットを完成させた。花崗岩と砂岩の棘がついていて、
ドワーフが象を馬鹿にしている画が彫られている。
方鉛鉱の月25日:
石英岩のアミュレットを完成させた。石英岩と木の棘がついていて、
3人のドワーフの画が彫られている。3人のうち、
1人は縮こまり、1人は火に焼かれ、1人は丸くなっている。
方鉛鉱の月28日:
Koganusanが近い。もう一週間もすればBoatmurderedの土地に到着し、
更に数日で入り口に行けるだろう。
これはドワーフ族にとって歴史的発見である。
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石灰岩の月4日:
成功だ!私の見通しは間違っていたーー我々は今日、Koganusanの入り口に到着した!
伝説の地を発見して興奮している私に対して同行者達は、
ここにキャンプを張り、坑道に入る前に2日ほど周囲を探索したいと言ってきた。
私もそれがいいと思い同意した。
石灰岩の月5日:
Boatmurderedの周囲の森は……奇妙だ。草木は小さく、形も歪んでいて、
地面は奇妙なことに火成岩と軽石で覆われている。
これは過去に相当な量の溶岩が流れたことを示している。
おかしなドワーフが言っていた”燃える”とはこの事なのだろうか?
石灰岩の月6日:
同行者達が動揺している。我々は今日、ゴブリンサイズの装備を数十と、
数頭の象のものと思われる骨を発見した。
そういえば少し前、河の向こうに獣の群れを目撃していた。
彼らが私を見つめているような気がした……。
石灰岩の月7日:
黒曜石のアミュレットを完成させた。玄武岩と花崗岩の棘がついていて、
象がドワーフを打ち倒し、ドワーフがうずくまっている画が彫られている。
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石灰岩の月8日:
冒険を続けるよう同行者を説得し、Koganusanの坑道に入ることにした。
入り口は大量の骨……のような何かで塞がれていた(何の骨か書くことは出来ない)。
坑道に入った直後、我々は壁に彫られた大量の彫刻を目にした。
彫刻師の名はSankis。奇妙なことに彼は他の彫刻において
”皇帝”と”髭無し”の称号を宣言していた……。
彫刻それ自体はどうやら、坑道のドワーフ達と沢山の象との、
壮大な戦いを描いているようだった。
ホールに施された彫刻では、ゴブリンたちのSiege、それも数度に渡るSiegeや、
マンドリル達との争い、そしてまた象との争いが描かれていた。
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石灰岩の月9日:
坑道を進み、更に彫刻を見つけた。恐ろしい画がいくつもあった。
あるものでは溶岩流が隊商を、象の群れを、ゴブリン達を飲み込んでいた。
叫びを上げる人間たちの画はまるで……精密だった。
他のもの(Green Bileの墓と名付けられていた)では、1人の人間が燃え上がり、
叫びを上げ、体を焼かれ、叫びを上げ……
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石灰岩の月10日:
Boatmurderedのドワーフ達は象に対して何らかの嗜好(あるいは嫌悪)を持っていたようだ…。
とにかく沢山の彫刻、立像、アミュレットやらなんやらに多種多様な象が描かれていた。
檻に入った象、ドワーフに殺される象、ドワーフを殺す象、様々なポーズの象、
沢山のドワーフを殺す象、沢山のゴブリンを殺す象、更に沢山のドワーフを殺す象。
同行者の1人はある戦場を描いた連作を見て嘔吐した。
闘犬が子供を産んで、子犬までも戦いに加わる。
ドワーフと象が斬り合い踏み潰しあって死んでいく。
最後に誰かが、荒っぽく刻まれたメッセージを見つけた。
”ようこそBoatmurderedへ。ここに入りしドワーフは一切の望みを棄てよ。”
(3)に続く
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※訳注
前回の訳注にあったBoatMurderedの原文を見ると、
http://lparchive.org/Dwarf-Fortress-Boatmurdered/Introduction/
実は1ページ目に既にSankisの名前が出ている。
2012年2月4日
Journal of Kith (1)
伝説のドワーフフォートレス"BoatMurdered"を探す旅に出た、
あるドワーフの手記からの抜粋
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Journal of Kith
(1) (2) (3)
原著: Anonymous of /tg/
http://1d4chan.org/wiki/Journal_of_Kith
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※訳注
この話にはドワーフの暦が出てくる。
花崗岩の月は初春、4月にあたる。
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花崗岩の月1日:
私の名はKith Sividsgun。これが私の手記への最初の書き込みとなる!。
私は今、10年以上前に失われ、伝説となった要塞、Kiganusan
(共通語に訳すとBoatmurderd。悪趣味な訳だ)を見つけ出そうという、
個人的な冒険に旅立とうとしている。
何故かは分からないが、他のドワーフ達は私の事を理解してくれなかった。
(皆、炎がどうとか、そこに関する超自然的な何やらの話をまくし立てていた。)
そして私が声をかけたエルフは……もっと役に立たなかった。
(私のエルフ語は錆びついているが、多分彼らは”悪魔と死の地”の話をしていた。)
なので、人間の屈強な冒険者達を雇ってガイドにすることにした。
栄光と名誉に満ちた冒険になるだろう!
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花崗岩の月2日:
2度目の書き込み。冒険は伝説にあるような物では無かった。
昨晩は固い岩の上で最悪の寝心地だった。
もう少しマシな寝具を手に入れなければならない。
花崗岩の月3日:
たまたま会った旅の吟遊詩人達から毛布を買った。
彼らは素敵で洒落た曲を演奏してくれたが、どういう訳か、
私の同行者の中にはドワーフの結婚の音楽を気に入らない者も居たようだ。
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花崗岩の月5日:
特に書くことがない。強いて挙げるなら、
私が家から持ってきたパンに対して、同行者の一人が苦情を言ってきた。
歯がかけたーーだらしないことだ。母が焼いてからまだ1年しか経っていないのに。
そろそろ完全に熟したはずだ!確かに歯がかけた。
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花崗岩の月10日:
冒険は退屈なものらしい。野盗も、ゴブリンも、コボルドすら居ない!
今のところ冒険譚に出てくるようなものは何もない。
何にせよ、Kiganusanまではたっぷり1,2ヶ月かかる。さらにガイドによれば、
古い地図しかないのでもっとかかる可能性がある。
花崗岩の月12日:
早とちりをしたようだ!昨日、我々はゴブリンの小集団に襲われた。
同行者達は私の完璧な指示によって連中を蹴散らした――私の命令は
無視されていたようだが、とにかく邪悪なゴブリン共を叩きのめした。
よし!
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花崗岩の月17日:
ゴブリンの襲撃以降とくに目立ったことはなし。
暇つぶしにアミュレットを彫ることにした。
花崗岩の月28日:
花崗岩製のアミュレットを完成させた。縞瑪瑙の棘で装飾され、
人間とゴブリンを打ち倒す画が彫られている。
花崗岩の月と共に、冒険の最初の1ヶ月が終わる。
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粘板岩の月8日:
補給のため、人間の開拓地に立ち寄った。
道中アミュレットを作るための石を幾つか購入した。
前に作ったものは、何故か町の住人の目に異国風に映ったらしく、いい値で売れた。
粘板岩の月15日:
砂岩のアミュレットを完成させた。砂岩と皮の棘で装飾されている。
木とドワーフが彫られている。ドワーフは木に無礼な仕草をしている。
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粘板岩の月19日:
コボルドのアンブッシュを受けた!悪賢いチビ共は罠を仕掛けていた。
幸運にも、同行者のうち2人が軽症を負っただけで済んだ。
理由は分からないが、コボルドは罠にガラスの刃を仕掛けていて、
それが同行者のチェインメイルに当たって砕けたのだ。
我々は簡単に蹴散らしたーー私も闘った。
私のアミュレットを掴んで棘に刺されたコボルドの頭に、
チッピングハンマーをめり込ませてやった。
粘板岩の月24日:
砂岩のアミュレットをもう1つ完成させた。花崗岩の棘がついていて、
ドワーフがコボルドを打ち倒している画が彫られている。
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粘板岩の月26日:
補給と休息のため、ドワーフの鉱山Febducimに立ち寄った。
岩の天井の下で眠ることの、なんと嬉しいことか。
夕食の最中、鉱山のドワーフに我々の冒険の話をすると奇妙なことに、
数人のドワーフが青くなり、驚いた顔で私を見てきた。
2本の剣を差し、チェインメイルの上にプレートメイルを着た屈強なドワーフが
食事を私に投げつけて(酒がもったいないな)部屋を飛び出していった。
そして誰に聞いても、Koganusanの場所についての情報は手に入れられなかった。
粘板岩の月27日:
我々が出立する直前、昨日のドワーフが私を呼びよせて、
「BoatMurderedを探すのはやめておけ」と言ってきた。
彼はそこを「邪悪の巣窟」と呼び、「そこに行けば焼かれてしまう」と言った後、
”全て燃えた”とか何とか言いながら離れて行った。変な奴だった。
粘板岩の月28日:
旅の2ヶ月目が終わろうとしている。
今日は特に何もなかった。アミュレットを完成させた。
(2)に続く
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※訳注
この話には”BoatMurderedの再発見”という別のタイトルも付けられている。
BoatMurderedは実在のプレイリポートの舞台となった要塞。
これは数あるプレイリポートの中でも代表的な作品で、
DwarfFortressのシステムが生み出す際限のないパニックと、
尋常でない土木工事と、はちゃめちゃのヤケッパチ感とをよく表していると思う。
果たしてそこで何があったのか、この先の話からなんとなく想像がつくと思う。
BoatMurdered自体のアドレスはこちら
http://lparchive.org/Dwarf-Fortress-Boatmurdered/Introduction/
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