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The Legend of the Ice Fisher
(1) (2)
原著: 不明
http://dfstories.com/the-legend-of-the-ice-fisher
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(2、完)
大量の魚が文字通りに腐り始めた頃、私はあるひらめきを得た。
酒は確か腐った植物から作るはず、ということはつまり?
その春、私は酒を求めるあまり、腐った魚を大量に食べた。
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腐敗がどれだけ進んでも、酒にはならなかった。
その代わり、頭をおかしくする何かに変化していた。それも悪い方に。
魚が私に語りかけた。彼らは秘密を語った。
実は他のドワーフ達は私を嫌っていて、だから私をここに取り残したままにしていて、
要塞の中で笑いながら酒を飲んでいるのだ。私の酒を!私の酒!
許せぬ。
あいつらに目に物を見せてやろう!
ここに私の要塞を作ろう!
魚で出来た要塞を!
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ドワーフ達がどうにか橋を作ったあと、魚の城から私を引っ張り出すのには
屈強なドワーフが5人も必要だったらしい。
何のためにかは知らないが、私は全ての魚の王になっていた。
私はずいぶん前から自分の臭いを感じなくなっていたが、他のドワーフ達は鼻を摘んでも防げず
手を振っても払えない魚臭さに苦しめられていた。
幸運にも、ある者が”石鹸”なる物の作り方を知っていた。
その者はこれを臭う所に当てて使うのだと言った。
皆その意味が分からず、臭う物は腹にある、である以上食うしかなかろうと、
とりあえず食ってはみたものの、そういうことでは無かった。
何故そんな事をしたかって、もう一方の方法は使いたくあるまい?
若者よ、笑いたいだけ笑うがよい。お前たちには石鹸もあり、コートもあり、
氷の上を歩いてはいけないという決まりもあり、冬の釣りを禁じる決まりもあるし、
魚の骨で出来たジャングルジムもある。
だが忘れるな、それらは皆老人たちのおかげなのだ!
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私の頭がおかしくなったのだと皆は思っていたが、魚たちは本当に彼らの秘密を語っていた。
それ以来、私は要塞1年分の魚を1日で釣ることが出来るようになったのだ。
ただそんなに沢山釣ったら樽が足りないし、そんなに沢山の魚を料理しきれない、
だからお年寄りはゆっくり休んでいてくれな、魚の王様さん、と言った具合で
皆は滅多に私を魚釣りにいかせようとはしなかったが。
(The Legend of the Ice Fisher 終わり)
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筆者による、入植時の気候表示(Climate)に関する注意書き。
もし表示が"Warm(温暖)"だとしても、信用してはならない。
あなたが地下で作業をしていて、冬になった途端に大きなラグが生じ場合、
ポーズをかけ、地上の河が凍りついていないか確認しよう。
もし凍っていたら、凍った場所を進入禁止にして、釣りの仕事もやめさせるべきだ。
私はどちらも手遅れになってしまった。
春になり溶けた河によって帰れなくなった時、老Urist McFishyStinkの釣りレベルは
たかだかCompetent(3)だったが、橋が作られるまでにLegendary(15+)にもなっていた。
彼は春の間ひたすら、釣りをして、魚を食い、河の水を飲み、また釣りをする羽目になった。
そして大量の魚によって文字通り壁が築かれることになった!
橋がかかったあと、要塞の全ドワーフが魚を拾いに出て行って、
全員が魚を持って帰ってくる様はさながらびちびち大行進といった風情だった。
そしてそのほとんどは腐りかけの状態でキッチンに山積みにされ、
そのあと数ヶ月間、腐った魚の山が完全に片付けられるまでの間、
キッチンとその周辺設備はMiasmaの紫色に埋め尽くされることになった。
(訳注:Miasmaは死体が腐る時に発生する毒ガス。)
春はエルフのキャラバンが訪れる時期であり、
それを狙ったゴブリンに魚のパレードが襲われなくてよかったと思う。
だがおそらく、ゴブリン達もあの臭いには引き下がっただろう。
エルフ達がどう思ったかは神のみぞ知るだ。
”頭のおかしいちび猿め!魚達になんと酷い事を!
とても全ては食べきれまい。ドワーフの宗教的行事か何かかなのか?
まったく理解出来ん、とにかく金さえ出せばよい、待て、なに?
お前たちは石鹸を食うのか!?”
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※訳注:途中「Urist McFishyStink」という表現が出てくる。
Uristはドワーフのよくある名前で、 後ろのMc何とかは「何とかする人」位の意味になる。
今回のUrist McFishyStinkは「魚臭い某ドワーフ氏」といったところ。
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2012年2月9日
2012年2月8日
The Legend of the Ice Fisher (1)
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The Legend of the Ice Fisher
(1) (2)
原著: 不明
http://dfstories.com/the-legend-of-the-ice-fisher
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(1)
さあ若者達よ、そこに座り、お前たちの年老いた祖父がいかにして
この世界で最も偉大な漁師になったかの話を聞くが良い。
始まりは51年の冬だった。
お前たちは信じないかもしれないが、
それまで私達は”冬”が何を表すのか知らなかった。
元々私達は南方に住んでいて、そこでは寒さを感じることはなかった。
私は雪を見たことも無かったし、河が凍りつくことがあるなんて知らなかった。
その頃はまだ、氷の上を歩いてはいけないという決まりすら無かった。
それどころか私たちは、凍りついた河を見て大はしゃぎしていた!
氷の上でパーティをやったりもした。子供、犬、ロバ、そして老人までもが
そこらじゅうでツルツル滑っていた。
一方漁師の私は、仕事が無くなるんじゃないかと困惑していた。
ある朝私は、ちょっと離れた河の氷から蒸気が上がっているのを
要塞から見つけて、それが一体何なのか確かめに行くことにした。
----------------
行ってみるとそこでは氷が巨大なダムになっていて、
なのにそこに溜まった水は凍っていなかった。
一体何故こんなことが起こりうるのか?それは分からない。
ともあれその場所を見つけたのは私が最初で、そこは漁師の楽園だった。
湖じゅう魚の群れで、しかも入れ食いだった。
もう私の餌に向かって勝手に打ち上がってくる勢いだった。
私は釣って、釣って、釣りまくった。
(訳注:原文ではIce damnだがIce damと解釈した。いわゆる氷河湖。
wikipediaの下記の項目を参照のこと。
http://en.wikipedia.org/wiki/Ice_dam
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%B0%B7%E6%B2%B3%E6%B9%96 )
----------------
巨大な氷が*びしり*という音を立てた時、
開拓団のリーダーであるOl'Bossyが遠くから、急いで逃げろと叫んできた。
だが手遅れだった。氷のダムが決壊し、私と要塞の間の河に大量の水が溢れた。
彼女は夏に使う漁港から要塞に水が流れこむのを恐れ、
水位が上がりすぎた場合に備えて港を封鎖する跳ね上げ橋を作っていた。
彼女はその橋の向こうから、戻ってくるための橋を最優先で作るから、と叫んた。
だがその直後、他のドワーフ達は彼女の眼の中に狂気の光が宿るのを見た。
彼女は私達を常に暖かくしてくれる”コート”と呼ばれる何かの完璧なアイデアを得て、
自分のために服の工房が必要だと叫びまくるようになった。
皆はそれを窯か何かだと考えたが、後になって1着の分厚いコートだと分かった。
お前達もコートが何なのかは知っているだろう。私達も今は知っている。
だが、その時は知らなかったのだ。
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皆知っての通り、工房を待ちきれなかったドワーフは刃物を持った気違いになりかねない。
誰だって編み針を刺し込まれたいとは思わないので、工房の建築は最優先事項となった。
一方私は冷たい雨の降る空の下、酒も無く立ち尽くすことになり、頭がおかしくなりそうだった。
とはいえ食べ物には困らなかった。魚は腐るほどあったのだ!
大量の魚が文字通りに腐り始めた頃、私はあるひらめきを得た。
酒は確か腐った植物から作るはず、ということはつまり?
その春、私は酒を求めるあまり、腐った魚を大量に食べた。
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腐敗がどれだけ進んでも、酒にはならなかった。
その代わり、頭をおかしくする何かに変化していた。それも悪い方に。
(2)につづく
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The Legend of the Ice Fisher
(1) (2)
原著: 不明
http://dfstories.com/the-legend-of-the-ice-fisher
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(1)
さあ若者達よ、そこに座り、お前たちの年老いた祖父がいかにして
この世界で最も偉大な漁師になったかの話を聞くが良い。
始まりは51年の冬だった。
お前たちは信じないかもしれないが、
それまで私達は”冬”が何を表すのか知らなかった。
元々私達は南方に住んでいて、そこでは寒さを感じることはなかった。
私は雪を見たことも無かったし、河が凍りつくことがあるなんて知らなかった。
その頃はまだ、氷の上を歩いてはいけないという決まりすら無かった。
それどころか私たちは、凍りついた河を見て大はしゃぎしていた!
氷の上でパーティをやったりもした。子供、犬、ロバ、そして老人までもが
そこらじゅうでツルツル滑っていた。
一方漁師の私は、仕事が無くなるんじゃないかと困惑していた。
ある朝私は、ちょっと離れた河の氷から蒸気が上がっているのを
要塞から見つけて、それが一体何なのか確かめに行くことにした。
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行ってみるとそこでは氷が巨大なダムになっていて、
なのにそこに溜まった水は凍っていなかった。
一体何故こんなことが起こりうるのか?それは分からない。
ともあれその場所を見つけたのは私が最初で、そこは漁師の楽園だった。
湖じゅう魚の群れで、しかも入れ食いだった。
もう私の餌に向かって勝手に打ち上がってくる勢いだった。
私は釣って、釣って、釣りまくった。
(訳注:原文ではIce damnだがIce damと解釈した。いわゆる氷河湖。
wikipediaの下記の項目を参照のこと。
http://en.wikipedia.org/wiki/Ice_dam
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%B0%B7%E6%B2%B3%E6%B9%96 )
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巨大な氷が*びしり*という音を立てた時、
開拓団のリーダーであるOl'Bossyが遠くから、急いで逃げろと叫んできた。
だが手遅れだった。氷のダムが決壊し、私と要塞の間の河に大量の水が溢れた。
彼女は夏に使う漁港から要塞に水が流れこむのを恐れ、
水位が上がりすぎた場合に備えて港を封鎖する跳ね上げ橋を作っていた。
彼女はその橋の向こうから、戻ってくるための橋を最優先で作るから、と叫んた。
だがその直後、他のドワーフ達は彼女の眼の中に狂気の光が宿るのを見た。
彼女は私達を常に暖かくしてくれる”コート”と呼ばれる何かの完璧なアイデアを得て、
自分のために服の工房が必要だと叫びまくるようになった。
皆はそれを窯か何かだと考えたが、後になって1着の分厚いコートだと分かった。
お前達もコートが何なのかは知っているだろう。私達も今は知っている。
だが、その時は知らなかったのだ。
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皆知っての通り、工房を待ちきれなかったドワーフは刃物を持った気違いになりかねない。
誰だって編み針を刺し込まれたいとは思わないので、工房の建築は最優先事項となった。
一方私は冷たい雨の降る空の下、酒も無く立ち尽くすことになり、頭がおかしくなりそうだった。
とはいえ食べ物には困らなかった。魚は腐るほどあったのだ!
大量の魚が文字通りに腐り始めた頃、私はあるひらめきを得た。
酒は確か腐った植物から作るはず、ということはつまり?
その春、私は酒を求めるあまり、腐った魚を大量に食べた。
----------------
腐敗がどれだけ進んでも、酒にはならなかった。
その代わり、頭をおかしくする何かに変化していた。それも悪い方に。
(2)につづく
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