2012年8月7日

War.


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War.

原文:https://poobar.wordpress.com/2007/07/09/war/
筆者:名称不明

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人口200人を越え、要塞は好調そのものだった。
多くのエリートを含め20人のクロスボウ兵と沢山の剣兵からなる軍隊を持ち、
工業生産も非常に盛んで、ドワーフたちは繁栄を謳歌していた。

そして題名の示す通り、戦いの時が始まった。

最初の戦いは私から引き起こしたものだった。
深淵のデーモン達(10体以上の強力な怪物)との戦いに備え、多くの通路と跳ね橋を作り、
さらに要塞化した射撃部屋をマグマ流の横に建設した。
クロスボウ部隊を配置した後、市民をChasmの向こうに避難させ、跳ね橋を上げて区画を封鎖した。
そして1人の鉱夫を深淵への(カミカゼ)掘削へ送り出した。

その後の戦いで鉱夫が1人、火球を食らったクロスボウ兵が3人、
橋から押し出されマグマに転落した剣兵が1人犠牲になった。
デーモンとの戦いにしては悪くない損害率だった。

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密閉されていた区画が開放され、転がる手足や血の掃除にドワーフ達が散らばっていった、
その5分後、要塞の外にブロンズコロッサスが現れた。
それに対し私は部隊をひとつ向かわせた。
ブロンズコロッサスを相手にするのは初めてで、よく分かっていなかったのだ。

体の部品が盛大に吹き散らされた部隊員が半数に達した時、
手足を飛ばされつつも生き残っていた兵士が要塞へ逃げ出した。
死の青銅巨人を引き連れて。

頭の回る兵士たちは既に要塞の外に飛び出し、他の市民を避難させていた。
最終スコアはドワーフ軍1キル、ブロンズコロッサス12キル。
(とにかくタフで、戦闘は5分近く続いた)

クロスボウ兵の生き残りは6人、そのうち3人は手足を失って戦えなくなった。
残る3人はエリートクロスボウ兵で、激しい戦いによって相当に鍛えられていた。
その中のひとり、3人の仲間を失った兵士のプロフィールには
”彼は悲劇に慣れつつある”と書かれていた。これこそ最も悲しいことかもしれない。

私は軍隊の損害補充として農夫を10人ほど徴用し、訓練を始めた。
元の力を取り戻すには長い時間がかかるだろうと思いつつ。

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その2分後。埋葬も済まない内にゴブリンの軍団が現れた。
ゴブリンが3部隊、トロルの群れが3つ。やむをえず要塞に撤退することにした。
進軍してくる敵に投石機がマシンガンのように撃ちまくる。
攻城兵器オペレーターの訓練にかかる長い長い時間が報いられたのだ。
石の雨がゴブリンの部隊をひとつ潰したものの、最後にはゲートを破られてしまった。

列をなして設置された罠が侵入した敵を潰していく。
まずケージトラップが10体を捕らえ、更にウェポントラップが敵を切り刻む。
それでも抜けた先の内堀では、大量の新入りクロスボウ兵が兵舎からボルトを浴びせかける。

残った20体かそこらが逃げ始めたとき、
私はゲートを開いき、兵士と闘犬を追撃に向かわせた。
マーシャルトランスに突入した兵士達によって敵は完全に抹殺された。

最終的な損害は負傷で走れなかった兵士が2人、漁師2人、木こり2人、
下級貴族が数人、外で捕まったハンター1人、そして追撃に当たった兵士が2人だった。
敵はエルフの貿易交渉の代表を殺していった。これは後の災害の種になるかもしれない。

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大掃除が始まった。
住民総出となり、死体の山を棺桶とゴミ捨て場に運んでいく。
石工が徹夜で棺桶を作っている。
放棄されていた畑では、農夫が越冬に必要な食料を必死で収穫している。
兵士たちが忙しなく要塞を走り回り、癇癪を起こしたドワーフを取り押さえている。
その中には家族と友人の全てを失った者もいる。
作られる彫刻の全てが死の場面をかたどっている。
ドワーフを殺すゴブリン、ドワーフを殺すドワーフ、傷ついて泣き叫ぶドワーフを嘲るトロル。

最高齢かつ最強のエリートクロスボウ兵は、
いまでは倒した怪物にちなんで”Colosso”と呼ばれている。
私は彼のステータスを調べてみた。
”もはや彼は何にも心を動かされない”
あまりにも多くの惨劇を見てしまったのかもしれない。

この要塞は立ち直れるだろうか?
それは時間だけが知っていることだろう。

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War. 完


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