2012年1月29日

The Hamlet of Tyranny (1)

Dwarf Fortressの微に入り細に入ったシステムは
時に目を疑うようなドラマを生み出すことがあり、
そうしたストーリーの幾つかはフォーラムやwikiに編纂されています。
ここではその中の1つを翻訳します。

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The Hamlet of Tyranny 
(1) (2) (3)

原文:/tg/,a 4chan.org gaming board. 筆者不明.
http://dfstories.com/the-hamlet-of-tyranny

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(1)

その日俺が友人の家に行くと、友人は首ヒゲに首ヒゲを重ねた有様で、
Dwarf Fortress(DF)にどっぷりという感じだった。
そして俺が部屋に入るなり、モニタを見てみろという仕草をした。

モニタを覗くと、そこには見たことも無いような
大量のデーモンの群れが映っていたーー。

さて、この続きを話す前に、友人から伝えられた、
ことの始まりを話しておくべきだろう。

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スタンダードなDFでプレイ開始した要塞、その名もThe Hamlet of Tyrannyは
出来事といえば交易、移民、そしてたまのSiege(※1)という程度の、
4chanは/tg/のプレイヤー達から見ると地味すぎるほどの平和な要塞だった。
しかし、要塞の地下深くには暗く、最悪な秘密が封じられていた。
その名を悪魔Ashmaliceという。

Ashmaliceは伝説級のファイアデーモン(※2)で、
The Hamlet of Tyrannyへの入植以前から存在しただけでなく、
その手による殺害数は550以上ーーいくらかのエルフを殺し、
ゴブリンの部族をまる2つ絶滅させた上、
尋常でない数のドワーフを殺していた。
キルリストの中にはこの要塞の王も含まれていた。

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それまでの事を手短に話そう。
要塞では大規模な工事が進行し、沢山の移民を受け入れ、
ドワーフにとって良い時代が何年も続いていた。
長い平和が続いたことで友人とそのドワーフ達は、伝説級の腕を持った彫刻師(※3)と
兵士を沢山抱えながらも、防衛を緩めてしまっていた。
そして、1人の鉱夫がドワーフ達の下で眠っていた灼熱地獄を掘りあてたとき
彼らはそのツケを支払う事になった。

解き放たれた地獄から溢れた無数のデモニックホラーが要塞になだれ込み、
ドワーフ達はろくに応戦できないまま次々に殺されていった。
友人はパニックになって川の水を要塞下部に引きこんだが
それでもデーモンの流入は止められず、時間稼ぎにしかならなかった。
だが、その稼いだ時間で要塞の大通路を崩落させ、
デーモンの侵攻を止めることに成功したのだった。

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幸運にも(そして賢しくも)友人は要塞の建築において、
大きな区画が崩落した場合用の外部への脱出ルートと、
要塞から離れた場所への通路と、そしてそこにあるレバースイッチで
要塞の天井を崩壊させ、トンネルに海水を引き込むという
壮絶な防衛システムを作り上げていた。

Ashmaliceに絶望を叩きこまれていた時、
レバーの近くに生きたドワーフはおらず、また辿りつける者も居なかったが、
彼はどうにかその時間を稼ぎ出した。

そしてその時、生存者の1人であるStuvokは怒りに我を忘れていた。

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Stuvokはスターティングセブン(※4)の1人であり、
元鉱夫にして伝説級スキルのブラックスミスという真のドワーフ、
ドワーフ達の中でも一目置かれる、力あるドワーフだった。

そして彼の妻Dokenもスターティングセブンの1人であったが、
悪魔Ashmaliceによって殺されてしまった。
入植時からの妻を殺された彼の悲しみは
生き残ったドワーフそれぞれの悲しみでもあった。
彼は悲しみと怒りの挙句に発狂し(※5)、工房に監禁されてしまった。

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要塞は絶望していた。
幾人ものドワーフがこの闇の中で自殺し、
他の生存者達もほとんど無気力状態になっていた……1人を除いて。

その1人であるSilは、この地に入植した7人のうち最後の
生き残りであると同時に、優れた彫刻師でもあった。
このあと数カ月、彼は死んだ仲間達の画を
ひたすら要塞の壁に刻み続けた……。

希望は潰えたかに見えた。
しかし、The Hamlet of Tyrannyの運命はまだ終わってはいなかった……。

(2)につづく

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訳注
※1:ゴブリンやエルフが大量に侵攻をしかけてくる。
関係ないがこれを撃退することで得られる金属をゴブリナイトと呼び、
ヘマタイト、マグネタイト、リモナイトに次ぐ第4の鉄鉱石として扱う
結構ひどい習慣がドワーフの中にあったりなかったりする。
※2:とにかくバケモノ。装備と訓練の行き届いた一流の兵士でようやく、
普通のデーモンと相討ちになれるかどうかという程度。
※3:彫刻師(carver,engraver)は要塞の壁や床にドワーフの記憶を
刻みつける事ができる。エジプトの壁画のような感じか。
ちなみに平和だと酒飲んでるドワーフとか、美味い酒とかが彫られる。
※4:プレイ開始時のドワーフ7人のこと。
スキル、持ち物、名前を決定できるので結構愛着が湧く。
※5:ストレスが限界を超えたドワーフはTantrum(癇癪)を起こす。
非常に危険で、鉱夫がTantrumを起こした日にはツルハシで
他のドワーフの腕を切り飛ばすくらいのことはやってのける。
しかも伝染するのでとにかく隔離することになる。

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